No.007 権力の品格 Chapter1


外観は、品格というか荘厳さが漂う国会議事堂。重要なことは、この中で行われていることが、建物意匠の品格と一致することなのではないでしょうか。

権力 :他人を自分の意志に服従させる強制力。ふつうには政治権力をさし、物理的強制力としての軍隊・警察などによって支えられる。講談社:日本語大辞典より。
品格 :?品柄。品質。?品位。気品。同辞典より。

権力は、家庭、学校、会社など、あらゆるところに介在しているものであるけれど、ここではマクロ、つまり政治(国会・立法)、行政、司法の三権に根付くその権力に対し、日本の場合は、本来伴わなければならないはずの「品格」が、ど〜も欠如しておるのではないか、という話し。
東京都の中でも5番目に面積が小さい千代田区(一番小さいのは台東区だそうだ。知りませんでした)の、それも合わせて400人にも満たない居住人口の永田町と霞が関で、日本の今と将来を決定するすべてのプログラムと仕組みが集約されている。
カッコよく言えば日本の頭脳の中枢だけど、だからこそ絶対的な品格と常識で取り組んでほしいと思うのは私だけではありますまい。

まずは、最高権力(のはず)である、内閣総理大臣。いわずとしれた麻生太郎首相のことを現時点では指すが、この方の品格には、少々の疑問では済まされないほどの疑問を感じざるを得ない。
好むと好まざるとに関わらず、時の最高権力者がその国の今と未来をプロデュースする。今のルール(議会制民主主義)では、首相は政権党内で選ばれる仕組みだから、ここは避けられない。

で、この度の「百年に一度の不況」を例にとってみよう。
こういう場合、少なくても可及的速やかに既成概念を超えた施策で臨み、その立案に際しては霞が関(つまり官僚)に限ることをせず、あらゆる立場からの視点を鑑み、首相を中心とする内閣のリーダーシップで精査、決定するのが品格ある手続きだ。が、この方の進め方にはいささか疑問を禁じえない。
権力の行使とは、?民のため ?多数、少数意見の集約、検証 ?断行。であるはず。どうも、この順序が逆さまに思える。
この方の名誉のために書き足すが、知事や会社経営者、学者などからなる有識者会議なるものを立ち上げている。しかし、一人10分ほどのヒアリングで終了した。これって「オレ、みんなから話し聞いているからさ!」というポーズだけなんじゃないですか!
その後、誰々の○○という提案をぜひ採用しよう、なんていう話しは一切聞かない。

知らないことは恥ではない。知ろうとしないことが恥なのだ

この方、かつて字が読めないことでマスコミから大ブーイングを受けたが、ここではそんな些末なことは意にしない。重要なことは、その字が読めないことではない。ちゃんと読もうとしない姿勢に品格を感じないのだ。誰だって知らないこと自体は恥ではない。その体験、経験から新しいことを知る姿勢こそが大切なのだ。
例えば頻繁(ひんぱん)を煩雑(はんざつ)と読んでしまった間違い。これ、私の想像では読み間違いではない。だって「頁」部分を除き、似て非なるものだもの。読み間違いではなく、単なる間違った思い込み、なんじゃないか。
だとするとこの方、思ったこと(思い込んだこと)を変えようとする資質が根底から極端に欠如している方と思わざるを得ない。そこに危うさを感じる。公務員制度改革への曖昧な取り組みを見れば、合点がいく。

世の中、変化は避けられない。その変化に対応していくから文化なのであって、ごく身近な周辺からの提示ですべてを決定する、なんて手法は旧態依然も甚だしい。とにかく前例なきことに挑戦する資質に乏しいのだ。それこそが今求められているのに。

  霞が関1丁目交差点のすぐむこうに国会議事堂がある。要するに目と鼻のところに政と官の中枢が位置しているわけだ。ある意味分かりやすいけど・・・・。

分かりやすいのが15兆4000億にものぼる補正予算案。額のことを言うつもりはない。でもこの方、その額自体を言いたいらしい。
大切なのは中身なのにそれが見えない。つまり、何をするからいくら必要、という論理ではなく、とにかくこれだけ手当てするからいいでしょ、じゃあ何も解決しない。従来手法から抜け出せない能力なんて、所詮はこんなもんだ。

人(民意)の言うことをきかない。自分の思い込み(カッコよく言えば信念)だけが正しいことと勝手に信じている。どこからくるのか自信過剰である。敵失で獲った支持率が数ポイント上がったくらいで有頂天になれる。・・・・・等等。
明るいことはいいことだけど、品格なき権力の行使こそ国民にとって最大の不幸だ。メディアが論調するまでもなく、求められている施策の優先順位はそれほど複雑だとは思えない。希望、安心、活力(すべて国民のであって、政官ではない)の元を包括的に思考し、個別に行う。それだけのことだ。

今必要な資質は愚直さではないか

この度の金融不況、確かに尋常ではない。キーワードはいくつも出てくる。
● 金融工学なる、誰も分からない変な資本主義の破綻だか崩壊。
●レバレッジなる、庶民感覚では考えられない1円しかないのに100円使うカラクリ。
●日本の経済アナリストの予想はほとんどはずれた。
●モノを作らなかった連中のために、モノを作る企業までとばっちりを受けた。

こういう場合、一番始末に悪いのが、会社を経営してきたから経済が分かると、勝手に思い込んで自信を持っているリーダーが、たまたま国の頂点に鎮座ましましていちゃったことだ。ちょっと待ってください、第一に経済と金融は違いまっせ!
「政局より景気」ってのは、一定の説得力はありますけれど、「不信より信頼」って文言もたまには使ってほしいよね。そのためには、何はともあれ総選挙!

時の宰相に対し失礼と知りつつも、この方が首相に選ばれたとき私はこう印象した。
この方、村の青年団のリーダーにピッタリだな、と。
一見きっぷがいい。金は持っているし、会合の場も提供してくれる。祭りの後の飲み会は全部おごってくれる。作り笑いがすごく上手で、誰かが笑うと必ず合わせていっしょに笑ってくれる。・・・・・等等。

でも1億2700万人の頂点には立つべきではないな、と。だって目の届かないところのことは分かろうとしないで、まず誰かさんまかせだもの。定額給付金がいい例だ。
要するに面倒くさいことが不得手なんですね。凡人ならともかく、一国の宰相に求められることは、突き詰めれば面倒くさいことのオンパレードではありませんか。
だから、気取らず、驕らず、ひたすら愚直にいくだけなのではないでしょうか。

皆さん、次はそういう人が国の舵取りができるような状況にしましょうね。そうしないと、いつまでも不条理なツケを我々が払わされることになりますぞ!
2009.04.24記


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