No.018 権力の品格Chapter6「現実」−「愛」=「削除」

5月27日、久々に国会で党首討論が行われた。政権党の麻生首相は前回と同じだが、民主党側は代表になったばかりの鳩山由紀夫氏。
小沢前代表の辞任騒ぎの後ということもあり、メディアから一定以上の注目を浴びたことは間違いない。さらに間違いのないことは、自民、民主以外の党首には申し訳ないが、この二党党首のうちのいずれかが総選挙後の政権を担うことになる。
その意味では両者とも必死のアピール合戦になることは仕方のないことだ。しかしである。

党首討論は、格別に討論テーマが決められているわけではないようなので仕方ないが、以下のテーマで論争が繰り広げられた。それもたった45分(実際は47分)だ。

● 軽い冒頭ジャブ
(約5分)「どっちの政権がいいのか:麻生首相」

● 北朝鮮の核実験
(約5分)「情報開示、管理、説明について:鳩山代表」

● 国のグランドデザイン (約5分)「友愛社会の建設、官僚主導の弊害:鳩山代表」

● 企業献金問題、西松問題 (約17分)「政治資金規正法、小沢氏秘書逮捕:両者」

● 補正予算 (約15分)「官僚お手盛り予算:鳩山代表」

*討論時間はYomiuri Online調べ

まっ、麻生首相対鳩山代表の党首討論は初めてのことなので、テーマが分散するのはやむなしとしても、世論としては少々不満だったように思う。なぜか。
まがりなりにも一国の現代表者と、何が何でも次の代表者を目指す二人の論戦だ。いったいどういう国を目指すつもりなのかが何よりも優先するのではないだろうか。
あえて言えば、鳩山代表が掲げる「友愛社会の建設」は、賛否はともかく、国の形作りには言及している。そこを基準に論争を展開すれば、関連事項として「安全保障」、「行政改革」、「社会保障」、「予算(財源)」などに話しが波及していくことになる。それがディベートというものではないだろうか。

しかしこの討論で分かったこともある。国の在り方、運営について、
麻生首相は、

「百年に一度の不況である」⇒
「だから景気対策が一番だ」⇒
「官僚の能力を活用する」⇒
「そういう現実的な施策が、今回の補正予算だ」⇒
「今の政権が正しい」
一方の鳩山代表は、
「不況以前に、人と人の絆が崩壊している」⇒
「官僚主導、つまり上から目線ではなく、国民目線の政策に切り替えることが急務だ」⇒
「そのためには、現政権では対応できない」⇒
「友愛社会の建設、脱・官僚は我が党にしかできない」

友愛社会の建設について、麻生首相は否定をしないまでも抽象的という言葉を連発した。で、彼の論法によれば、具体的とは「予算とその額」の一点に絞られるらしい。だとしたら、国会の場で野党との審議も含め、その活用法などと真摯に取り組むなら分かる。
が、事実上「アニメの殿堂」建設(117億! だそうだ)を含めたヘンなハコモノ予算が、何の修正もなく執行される。それを具体的なんぞと言うのだとしたらちゃんちゃらおかしい話しだ。
国民の多くは、赤字国債まで発行して組む補正予算であるなら、とりあえず目先でも困窮しているところに使えよ! と思っているに違いない。間違っても「アニメの殿堂」建設で、それらが解決するとは思ってないでしょう。

この歳になっても、どうしても理解できないことがある。
景気対策=公共事業の促進、という構図だ。これって公共事業の促進=官僚既得権益の増幅なんじゃないですか? つまり、景気は景気でも官僚と限られた受け皿たちの景気じゃないか、と。
いったい全体、いかなる良識(品格)を持つと、そのような発想、視点のモードに入れるのだろう。そこがどうしても理解できない。
もっと理解できないのは、そういう施策に対し、平気な顔して「官僚は使いこなさなきゃ」と自慢げに語る政権トップのKYぶりだ。ああ、やだ!


かたや〜、友愛精神で官僚支配撲滅ぅ〜。こなた〜、従来の仕組みを堅持してケイキ回復ぅ〜。

情報集約とは帳尻合わせではない!

さて、表題の「現実」−「愛」=「削除」の話し。
結論から言えば「現実」と「愛」は対比などしない。愛は普遍的なことであり、現実生活に密着しているものだからだ。つまり、いずれも重要な要素ではあるが、政治の場での政策論争などにはなり得るどおりがない。
受け売りで恐縮だが、ベストセラーの「天使と悪魔」からの一説を引用すると、
神秘の四大元素は土(Earth)、空気(Air)、火(Fire)、水(Water)で、その四区分はそれぞれ力、知性、情熱、感情を表しているという。好むと好まざるとに関わらず、地球上の元素の下ではじめて人は営むことができる。そして、あらゆる状況に対処するために力、知性、情熱、感情を使い分けて発揮していかねばならない。これは神秘ではなく社会生活の必然だ。
だから、その意識、活用法、順序を間違えるとえらいことになりますよ、という自然界からの啓示ともとれるのではないだろうか。

政治と行政の役割とは、一般国民の何十倍もの情報を集められる立場にあるのだから、自分たちも含めて、人のよりよい生活(優先順位は弱者、中間層から)を作ることが本来の仕事だ。そこに力、知性、情熱、感情を注いでいくのが使命である。どのレベルをもってしても、己の権益のためにのみ行われるものは愚考、愚策と言う。
年金データを例にとるまでもないが、百年安心の帳尻合わせをするために楽観的な数字を元に試算した。こうなると愚策というより、意図的な改ざんだ。断じて許されることではない。
国会も霞が関も国民からすれば手段にすぎない。だから、存在自体を否定しないまでも、役立たずであるなら「削除」が必然と考えている。

果たして役立たずとは何を意味するのか。
それは、愛でも現実でもない。抽象論でも具体論でもない。どちらが政権政党としてふさわしいなどというきれい事で済んだ時代はとうの昔に終わった。もはや、どことどこをどのように削除していくのが将来の国民生活に正しいことなのかだ。
そんな時代に突入していることを二人の党首は肝に銘じなければならない。国民の意識はもうそこまできている。
2009.06.01記


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