No.017 権力の品格Chapter5「民の潔癖」

 

従来の執行部に岡田氏が幹事長として加わった形。ぱっと見では変化を感じることはできないが、共通の目標は「政権交代」。せいぜい働いてもらいましょう。民意を決定する政策は、近々示されるマニフェストが基準になる。

あっという間に民主党の代表が決定した。ここでは、それを急ぎすぎたとか、選出過程について述べる気はない。政権交代⇒霞が関改革⇒高速道路無料化など国民目線の施策の実現こそが最重要課題であり、政権とはそれらを実現させるための手段にすぎないと考えるからだ。

第四の権力であるメディアが、民主党の新体制についていろいろと触れている。やれ、「小沢の傀儡だ」とか、「権力の二重構造」だのとちくちくと突付いている。
小沢氏が選挙担当の代表代行となり、執行部に残ったことを指しているのだ。

異論噴出を承知で書かせてもらうが、大きな目標を実現させるとき、世論は改革請負人にパーフェクトを求めていては何も前に進まないことを知るべきだ。
小沢氏が抱える西松問題が何も総括されていない、説明責任がなされていない、とメディアは世論を楯に論調が止むことは当分ないだろう。それ自体は間違ってはいないし、うやむやにすべきだとも思わないが、政治とカネについてちゃんと解明するのだとしたら、説明責任は小沢氏のみならず、検察やその他の与党議員にまで及ばないと、きわめてアンフェアなことになりはしないかと思う。
これを機に、法的な整備をさらに精査し、国民が納得のいく仕組みにすることは大賛成だ。

さて、民主党代表選挙以後の各メディアによる世論調査を見るまでもなく(予想どおり、無党派層の民主党支持率が上昇)、現実味を帯びてきた政権交代であるが、そのメインメニューが霞が関改革であることはほぼ間違いない。
何度も書いているが、民間では到底理解不能なことを平気でやってのけ、実現させる天才たちの集団だ。最近では明治維新、古くは大和時代に遡って考えても、常に権力を維持してきた超強力集団である。

すぐれた演目には、クセの強いバイプレーヤーが不可欠

鳩山由紀夫新代表は、代表選挙での演説でも、霞ヶ関改革を真っ先に説いていた。代表選挙に敗れ新幹事長に就任した岡田克也氏も基本的には同じことを語っていた。そりゃそうだ、霞が関改革は民主党最大の党方針だから、党の重鎮である二人の見解に相違があるわけがない。
そこで小沢氏の存在。一番の注目は彼の圧力と経験だ。与党時代から長きに渡って霞が関を注視し続けてきたのだ。
鳩山、菅、岡田、前原、長妻、枝野、原口、馬渕などの各氏が霞が関改革理想&原理主義者だとすれば、小沢氏は民主党唯一と言っても過言ではない現実主義者だ。

強力な官僚集団を、理屈だけでねじ伏せることは不可能であることを小沢氏は知っている。すなわち相手の手の内を熟知した者にしか、この改革は実現できない。
鳩山新代表は、自信を持って霞が関改革の実現を述べていたが、それは小沢氏というファクターがあってというのが前提なのだ。
戦いの常道とは、相手の弱みを知ること。鳩山新代表はいかにも育ちのいい常識人であることを疑うことはしないが、海千山千とどう対峙していくかとなると一抹の不安がよぎる。政治主導という原理原則だけでは官の壁は打ち破れないことを、何より歴史が物語っているからだ。

端的に言おう。今後行うべき霞が関改革は絶対に小手先であってはならない。その場しのぎであってもいけない。ドラスティックな仕組みのChangeでなくてはならない。官のなすべき本来を再構築し、悪しき流儀を殲滅しなければならない。それこそが真の改革だ。
そのために、清濁併せ持つクセの強い脇役が、どうしても不可欠なのではないだろうか。
国民は、好きか嫌いかなどという次元で、国の自立を遅らせてはならない。
2009.05.19記

 
代表名
就任期間
退陣理由など

鳩山由紀夫

菅 直人

‘96年9月〜’97年9月 共同代表でスタート
菅 直人 ‘97年9月〜’99年9月 代表選挙で敗れる
鳩山由紀夫 ‘99年9月〜’02年12月 自由党との統一会派構想が失敗
菅 直人 ‘02年12月〜’04年5月

年金未納問題で引責

その後、未納は社保庁のミスであることが判明

岡田克也 ‘04年5月〜’05年9月 総選挙敗北で引責
前原誠司 ‘05年9月〜’06年4月 偽メール問題で引責
小沢一郎 ‘06年9月〜’09年5月 西松問題による党内求心力と世論支持の低下
鳩山由紀夫 ’09年5月〜  

*鳩山氏は8代目の党代表になるが、代表経験者は5名とどまる。


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