No.022 権力の品格Chapter7 「見えない答え」

世論調査の数字は各メディアによって多少の違いはあるとしても、その傾向は各社で一致しているから、その時点での国民の気持ちを計る目安としてはかなり信頼できるものだ。最新の調査だと現麻生政権の内閣支持率は20%を切り、逆に不支持率は70%を超えている。各メディアの論調だと、これは政権維持の危険水域だそうだ。

一方、様々なメディアに出まくっている宮崎県の東国原知事と大阪府の橋下知事の支持率はともに90%前後と、県民、府民のみならず多数から支持されているという世論調査もある。この差は果たしていったい何なのか。

彼ら二人がTVを賑わす有名人だからだろうか。それもまったくないとは言えないだろうが、千葉県知事選に勝利した森田知事は、ほとんど前述の内閣支持率と変わらない体だから、TVに出れば何とかなるという理屈はどうやら通らない。国民はそのあるべき姿をかなりシビアにしっかり見抜いている。国民の目は賢く鋭いのだ。

その低支持率を返上すべく、自民党の選挙責任者である古賀 誠氏が東国原知事のもとに訪ね、次期総選挙での出馬要請を行った。それに対し、同知事は大きく2つの条件を提示した。一つは全国知事会で決めた地方分権に関する提案を自民党のマニフェストにもれなく入れること、もう一つは自身を次の総裁候補とすることだった。

万が一にもこの条件が通るとは思えないが、もしこれを自民党が了承するとすれば、いわゆる無党派層や比例先を決めかねている人のほとんどが自民党になびくだろう。

古賀氏にとっては想定外の条件をたたきつけられた格好だが、自民党が変わる千載一遇のチャンスでもある。まっ、この党にそのようなセンスがあったなら、こんな支持率になっているはずもないが・・・・・・。

国政と地方政治を単純に比較はできないのかもしれないが、いずれも政治であり、尽きるところは国民(市民)目線であるかどうかが判断、評価されるわけだから、国政の政治家は日々選挙と政局だけに身をやつしている場合ではない。

抜群の支持率を誇る東国原、橋下両知事に共通していることは、次の一点ではないだろうか。それは「額に汗して奮闘」して一定の結果を残していることだ。

時には暴論もある、ブレることもある、行政のトップにも平気で異論を唱える。しかし生活者にとって良かれと信じることに常時邁進している姿が、県民、府民にとって信頼に足るものと映るのではないか。現政権には最もかんじんな「それ」がない・・・・・ということを察知した古賀氏の判断自体は鋭い。が、単なる人気取りのつもりだったのが、相手(東国原知事)の方が一歩も二歩も上手だったのだ。

 

  賛否はあるようだが東国原宮崎県知事の提案は、いたって純粋と見えた。「宮崎をどげんかせんといかん!!」は、そのまんま(ダジャレ)日本に置き換えてみたいと誰もが願っている。どこよりも順序やヒエラルキーを重んじる体質の自民党では実現しないだろうが、今回のことで変われない政治の世界に一石を投じたことだけは間違いない。

麻生首相は、額に汗かどうかはともかく遊説には赴くし、暴論(言い間違い)はあるし、ブレることに至っては日常茶飯事だ。でも国民から信頼されていない。答えは簡単。目線が国民一般から著しく乖離しているからだ。そんなことも分からないような人にトップをやってほしくない、というのが大方の国民の見解なのだ。

戦略下手な日本人

は若干飛ぶようだが「戦略」について触れる。

戦略とは、経済評論家の勝間和代氏 http://wwkatsumaweb.com/ によると、

1. ある特定の目標を達成するために、
2. 総合的な施策を通じて、
3. 資源を効果的に配分、運用する技術。

を言うそうだ。

よく企業で言うところの戦略は、決められた資源(予算)の範囲内で行う場合が多く、これは戦略ではなく、戦術と言うそうだ。この点について日本人はまことに得意であることを説いている。しかし、目標をどのように定めるか、資源の配分をどう見直すか、はまったく不得手であるとも説いている。つまり、戦術は行っているが、戦略は行っていないと氏は断じている。

企業もそうかもしれないが、まさに現政権にこそ、それがぴったりと当てはまる。もっとも戦術すらも見えてこないから、野党の敵失頼みのみに終始するような前述の低支持率に至っていくわけだ。

現政権は、

* 何はともあれ景気の回復。この点に異論を唱える人はいないと思うが、景気低迷の実態の検証と精査がなされていないのと、優先順位を定めきれていない。
* 施策はGDPの下方分の額(補正予算)を当て、乗り切ろうとした。つまり、マクロ対応でミクロ波及がなされるものと判断した。
* 資源の配分は効果的というより、各省庁の提示により配分した。そこで、与党内部からも反対されるような「アニメの殿堂」のようなものまで出てきた。資源配分を根底から見直すなどという作業は、どうひいき目に見ても感じることはできなかった。

景気は底打ちしたと政府は言うが、国民の誰もが実感していない。相変わらず大多数の人は低賃金、雇用不安、将来不安に陥っている。そんな状況の中で、消費の拡大(景気の源泉)など図れる道理がない。

国民は「痛くない注射針」を作るようなセンスを望んでいる

先日、TV番組で町工場の星である金属深絞り加工、痛くない注射針で有名な岡野工業の岡野雅行氏が興味深いことを語っていた。それは「オレは、答えのないものを作っている!」だ。

答えがないというのは、本当にないのではなく、答えを見つけるために幾多の困難にも立ち向かう、という意味であろう。同時に氏は高等教育が、答えのあるものしか教えていないとも説いている。かなり考えさせられる。特に官僚諸氏には耳が痛いはずだ。

政治にも正確な答えなど存在しない。だから困難なのだとも言える。答えを見つけるために額に汗して動きまくる前述の両知事に世論は一定の戦略、戦術を感じとることができるが、官僚の術中にはまりまくっているかのごとく思われている現政権には戦略がどうしても見えてこない。と言うより、現政権では国民目線で施策を行うことが不可能であろうと、完全に理解されている。

だから、しがらみのない東国原知事は前述の条件を出した。文字通り、遅々として進まない地方分権を地方の力で実現しようとしたのだ。自民党の幹部議員の中には、身の程知らずとのたまう方もいるが、なんでそんな些細な固定観念にこだわるのだろう。どうも低支持率の原因のすべてを麻生首相に転嫁してやしないか。この人を党の顔に選んだのはあなた達でしょうが。

世論の動向とは、国民目線で行動できるか否かの一点に左右されると言っても過言ではない。もう国民は偽りの人気やパフォーマンスには絶対に騙されることはない。

 
本気で地方分権と取り組むところが、次の選挙で勝利するのではないだろうか。世論調査に一喜一憂している場合ではありませんよ、お二人さん!

麻生自民党にも鳩山民主党にもこれだけは言える。

「痛くない注射針」を作りあげるような創造力を養ってみましょうよ。答えが見つかりにくいことと真剣に取り組むから、初めて国民からの共感が生まれるというものだ。もちろん、その取り組みの過程に「官僚依存」の文字はあってはならない。

国民の望むことは意外にシンプルであるものと想像する。「嘘のない真の活力と安心」、そこだけ。それは深く、だから答えが見えくいのだが、そこを見つけるのが政治の使命というものだ。間違っても「脱力と不安」の創出であってはならない。

2009.06.24記


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