No.006 世界に広がるEVムーブメント

今回は細かい理屈抜き。世界中の潮流になっているEVを、できるだけ紹介してしまおうというもの。*開発中やプロトタイプなど含めると、その数は膨大になる。
通常、自動車は自動車会社が作ることが当たり前となっているが、少なくてもアメリカを見ると、その主体はデトロイトではなく、カリフォルニアのシリコンバレー(もちろん、ベンチャー事業)発祥が少なくない。もしかするとEVは、今までの自動車とはまったく異なる普及や浸透の仕方をするのかもしれないことを暗示しているようだ。
今後は、中国やインドの動向、日産とイスラエルの行方など、国境を越えて世界中で着々とEVへのアプローチ・マグマが胎動してくると見るのが自然と言えるだろう。
当然のことだが、化石燃料の国内自給率がわずか0.1%にすぎない日本にあって、自前でエネルギーを作り出すことが可能な「電気」への期待は、さらに高まっていくだろう。
その大きな引き金になっているのが、世界レベルでの低炭素社会へのアプローチにあることは言うまでもない。

 
主な内容
会社名(国名)

i-MiEV(アイミーブ)
今年の夏にデビュー予定。三菱アイをベースの4人乗り。最高速度130km/h、1充電160kmと、実用性が高い。

三菱自動車
(日本)

プラグイン・ステラ
今年から官公庁向けに稼動した。1充電走行は80kmながら、独自の急速充電など注目点は多い。

富士重工業
(日本)

ジラソーレ
日本/イタリア共同開発の本格的EV。2人乗り、最高速度65km/h、1充電120km。日々進化し続ける意欲的EVだ。

オートEVジャパン
(日本)

REVA-クラシック
外観からは想像できないが、4人乗りの軽自動車。最高速度80km/h、1充電85kmを発揮する。

タケオカ自動車工芸
(日本)

Tesla Roadster
11万ドルもするが、完全なスポーツカー。 最高速度は200km/hを超え、0−100km/h4秒弱、3時間半の充電で360km走るという。もはやEVというより、低炭素動力のスーパーカーだ。

TESLA MOTORS
(アメリカ)

Tango T600
文字通り、シティコミューターとしての使い方が正しい。とにかく細いボディは、それを意識している。それでも0−100km/hは4秒、1充電走行は240kmと秀逸。

Commuter Cars
(アメリカ)

ALIAS
前2輪、後1輪の3輪車。それでも性能はなかなかで、0−100km/hが7.8秒、最高速度が168km/h、1充電で約160km走るスグれものだ。

ZAP
(アメリカ)

THINK City
2+2シートのスタイリッシュモデル。最高速度は100km/hだが、1充電で約200km走る。0−80km/hが16秒と控えめな性能。

THINK
(ノルウェー/アメリカ)

Dynasty Sedan
イタリア車を思わせるキュートなデザインの4人乗り。リリースでは環境性能の高さとエネルギーコストの低さを訴えている。

Dynasty
(カナダ)

FETISH
スポーツカーそのもののデザインを裏切らず、0−100km/h5秒、最高速度160km/h、1充電250kmと意欲的なスペックだ。

VENTURI
(モナコ)

2009.04.20記


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No.026 バイオがくる! と信じたい
  NEDO実用化開発実験により設置されたラント例(月島機械hpより) 最初から言い訳がましくて恐縮だが、今回の提言はあくまで筆者の「そうなったらいいなぁ・・・」という希望的観測に終始することをお許し願いたい。 もとより、当方機械工学は言うに及ばず、バイオ(ここで言うのはバイオマスエタノールのエネルギー。以下バイオと略す)の基本である化学なんぞ、まったくの門外漢であることもお断りしておく。したがって、ここではバイオが日本国内でどのように進捗しているかの検証を主としたい。 バイオエネルギーは基本的にはサトウキビ、とうもろこし、廃木材などのバイオマス資源を発酵し、蒸留して作られる植物性のエチルアルコールのことで、新たな燃料用エネルギーとして注目される。「バイオエタノール製造施設(プラント。小規模でも製造出来ることも実証されている)」で作られたエタノールは、自動車やボイラー等の燃料としての利用とその範囲が期待される。 さらに、Vol.23でも述べているように、バイオに含まれる炭素は植物の光合成によって固定された大気中の二酸化炭素に由来することから、エタノールの燃焼によって二酸化炭素が大気中に放出されても地表に存在する炭素の総量は変化しないと考えられている。つまり、温暖化対策にも寄与できる可能性は大いに高い。
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No.029 クルマはどこへ向かうのか
  市販のEV初となるCセグメントボディの「リーフ」。軽自動車の三菱i-Miev、富士重工のプラグイン・ステラとともに話題と実用性を高め、今後のEV普及の鍵を握っていくことになるだろう。忘れてならないのは、オートEVジャパンやゼロスポーツといった大規模ではないが、長くEVと取り組んでいるメーカーの存在だ。EVに関しては規模の大小に関わらずベンチャーとしても事業成立が成り立つことをアメリカでは実証されているのだ。理由は環境対応と部品点数(動力部分の)の少なさと言われている。       イラストは日産自動車hpにあるEV専用レーン構想のイメージ。路面には非接触充電や走行中充電の技術がフィードバックされる。今EV関連では三菱自動車と富士重工が話題になっているが、日産は9年前にハイパーミニというEVを200台普及させた。その歴史と技術の積み重ねは注目に値するものだ。 8月2日、日産自動車は満を持して次世代移動体の「明日」を問うEV、「リーフ(葉:なかなかシャレた名前だ)」の概要を発表、来年末の発売を示唆した。日産の横浜新社屋も「新」、クルマの概念も「新」というのも、どこか象徴的な感じがする。 発表会見のゲストも豪華。EV普及の急先鋒である、松沢神奈川県知事は当然としても、数日前に就任中辞任を決めた中田横浜市長は、おそらく決まっていたスケジュールでやむなくという感じ。注目は小泉元総理。神奈川(特に追浜)と日産とは深い縁があるとはいえ政界引退を決めている方。しかしこの人が「脱石油自動車普及の日も近い」と言うと、どこか説得力がある(首相現役時代、燃料電池車の時も同じようなことを言っていたかも。政治家特有のリップサービスかな)。が、もし今でもこの人の政権だったら、EV普及はもっと早まっていたかもしれないことをサラッと匂わせた。
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No.001 バッテリーなスクーター参上!
EV(電気自動車)メーカーとして設立された「オートEVジャパン」は、産声をあげてから6年を経過している。3年前に発表された「ジラソーレ」という2人乗りのEVをご存じの方も多いと思うが、今回発表されたバッテリー・スクーター「スカルピーナ」は、同社では第二弾ということになる。 勘の良い方ならお分かりのように、名前から受けるイメージどおり、この自動車もスクーターも完全にイタリアン・デザインがミソ。さすがのデザインセンスは目を見張るものと言えるでしょう。 スクーターも含め、EVは今最も注目される乗り物であることは間違いありません。低炭素、省資源、低騒音、低コスト(現在、優遇措置が練られ、実現する運び)など、どれを取っても最先端と優しさを併せ持っている、と言っても過言ではないでしょう。 スクーター、クルマの詳細はオートEVジャパンのhpをクリックしていただくとして、ここでは、今までとは違うクルマを世に送り出すためのドキュメントを駆け足で。 ●同社の高岡代表は、元ワークス・スバルのドライバー。一時F1活動はイタリアを拠点に行っていた縁でイタリアのモータリゼーション、デザイン力に深く感銘を受ける。 ●イタリア国内は都市によっては、内燃機関(エンジンです)車が進入に規制を受ける。つまりEVなら規制を受けないから、これを日本にも導入しようと考える。 ●で、イタリアのジラソーレの製造元スタートラブ社と契約する。 ●しかし、ここからが大変。ジラソーレは2人乗り、つまり日本でのカテゴリーは自動車(原付ではないということ)になるから、いわゆる強度(衝突)試験を経て認可を受けなければならない。これ、お金も時間も手間もハンパじゃなく掛かる。 ●日本はアメリカみたいにベンチャー企業がイマイチ一般化していないから、そうそう出資者を募ることもできないようで、相当苦労されたみたい。 ●日本は、よくも悪くも自動車に求める条件は贅沢だから、バッテリーはもちろんのこと、ハンドルからアロイホイールまで、ほとんどすべて日本仕様にチューニング、というより大改造。ここが自動車屋を自負する高岡代表の真骨頂で、絶対にオモチャは作らない、と豪語していましたっけ。 ●そういうわけで、かつでは月に1〜2回イタリアへ。最近では2〜3回中国(バッテリーなど)に出向き、何から何まで決めてこなくてはならない。 ●で、タイトルのスカルピーナは、かなりいい感じなのだが、座席がヨーロッパ人向けなので、日本の女性にはちとハイトが高い。約5センチ下げることを強いられる。これ口で言うのは簡単だが、実際は大変だそうだ。